TV会議システムの「mcu」とは?仕組みをわかりやすく解説

近年、TV会議を行う機会は増加傾向にあります。それに伴って数多くのメーカーから多種多様なTV会議システムが登場していますが、TV会議システムによって複数拠点を結んでの会議を可能としているのがmcuという装置です。

mcuとはどのような装置?

mcuとは、MultipointControlUnitの略で、日本語では多地点制御装置と訳されます。2つの拠点を結ぶ会議の場合、PtoP型と呼ばれる形態の接続で済みます。PtoP接続とは、相手側の端末と1対1で直接接続する方法のことで、特別なサーバーを介する必要がありません。電話と同じような仕組みの接続形態で、プロトコルが同じであればメーカーや機種を問わずに接続できるという特徴があります。
しかし、近年は3拠点以上を結んでのTV会議を行う機会が増えていますが、例えば複数の拠点間で国外通信によるテレビ電話を利用すると通信が不安定になるケースが多々発生してしまいます。通信が不安定になってしまうと、円滑な会議を行うことができませんが、この問題を解決する装置が多地点制御装置です。この装置を利用することで、3拠点以上を結ぶTV会議であっても安定した通信環境で会議を行うことが可能となります。また、この多地点制御装置は会議の規模にかかわらず、端末装置に変更を加えることなく構築できるという特徴があります。

mcuによって複数拠点が結べる仕組み

上記の通り、mcuは複数地点を結ぶ会議を円滑に進めるために欠かせない装置ですが、この装置を利用した会議ではまず各拠点にある端末がmcuに対して1対1で接続します。イメージ的には、各端末とゲートウェイ機能がPtoP接続されているような状態です。
そして、各拠点から送られる映像や音声といったデータは一度、多地点制御装置がまとめて受け取ります。各端末から送られてくるデータが揃ったら、会議参加者の顔がよく見えるように画面を分割したり合成したりしてから、再び各拠点の端末へと送信します。以上が多地点制御装置によって複数地点を結ぶ会議を実現する大まかな仕組みとなりますが、この流れを繰り返すことで、複数拠点間の円滑なコミュニケーションを実現することが可能です。
なお、この多地点制御装置は、単体の製品として販売もされていますが、TV会議システムの端末内に内蔵されていることもあります。また、ISDN接続やIPネットワーク接続など、異なる通信形態の拠点同士をTV会議上で混在させることができるゲートウェイ機能を有したmcuも存在しています。

クラウド化が進むTV会議システム

mcuは3拠点以上を結ぶTV会議に不可欠な装置ではありますが、この多地点制御装置は決して安いものではありません。特に、数多くの拠点を結ぶ大規模な会議を行うためには、多くの装置を設置する必要があるため、オンプレミス型のTV会議システムの場合、どうしても導入コストが増えてしまうという問題があります。
しかし、近年ではクラウド型のTV会議システムも数多く登場しています。クラウド型のシステムであれば、ベンダー側がmcuを用意してくれるので、導入コストを大幅に抑えることが可能です。機能のカスタマイズ性という面ではオンプレミス型に劣りますが、クラウド型のTV会議システムであれば、インターネット環境さえあれば場所を問わずに利用できるので、外出先や自宅など様々な場所から会議に参加することができます。また、初期設定やメンテナンスといった面倒な作業もベンダー側が行ってくれるのもクラウド型のメリットです。このように様々なメリットがあるので、近年では多くの企業がオンプレミス型ではなくクラウド型のTV会議システムを導入しています。

今回は、3拠点以上を結ぶTV会議に欠かせないmcuについて解説しました。この装置を活用することで3拠点以上を結ぶ会議を円滑に行うことができますが、この装置は決して安いものではありません。しかし、クラウド型のTV会議システムであれば導入コストを抑えることが可能です。